バレエと聞いてどんなイメージを持つでしょうか。ライトアップされた舞台にトゥーシューズ、プリマドンナ、白鳥の湖などでしょうか。裕福な家の子どもがやる習い事ねと思う方もいるかもしれません。そんな華やかな世界にも、確実に少子高齢化の波は訪れています。バレエの指導だけでは食べていけないからとアルバイトをする人もいます。バレエの世界から身を引いてしまう人もいます。米田ひろみさんはバレエの指導をしつつ、そんなバレエに関わる人のためのキャリアコンサルティングを行っています。いわばバレエの先生の先生です。今回はバレエライフコンサルタントの米田ひろみさんにお話を伺いました。
バレエの先生向けのキャリアコンサルタントというのは珍しいのではないですか?
日本でそういうことをやっている人を聞いたことがないので、いちおう私がパイオニアということになるんだと思います(笑)
どうしてそういうことをやろうと思ったのでしょうか。
戦前に日本にバレエが伝わってからこれまで、踊る技術や表現力をどうやって向上させるかに目が向けられてきました。当時は基本的にバレエをする人というのは裕福な家庭の子女が多かったので、先生方もあまりお金の心配をすることはなかったんですね。教えている生徒が上手になればそれでよかったの。ですがそういった先生が70歳、80歳になった時に、もう身体が動かなくなっていって、若い人に動いて見せて教えられる技術が劣化しちゃうんです。ビジュアルな世界なので、そりゃマズイ。じゃあ誰が教えるかというと、その先生のお弟子さんたちになるわけですが、誰もビジネスのことは教わったことがない。先生もビジネスのことはわからないから、とりあえずお弟子さんたちにボランティアとか、おこずかい程度の賃金で働かせるわけです。いわゆる労働力の搾取というやつですね。こういったことが至る所で起こっているわけですよ。私は息子がポーランドでダンサーとして活動していることもあり、海外の情報を得ることも多いけれど、海外の人はバレエの先生でもビジネスをやっているという意識が強いです。
バレエ教室をビジネスとして続けていけることが大事ということですね。
一方で若い世代はというと、コンクール中心の指導になリつつあります。今は小学生のうちから、子どもたちになんとかしてコンクールに入賞させようとするんだけれど、本当は、子どものからだは精密機械のようなものですよ。外向きの足がきちんとできるようになるまでに、私たち指導者が精密機械を扱うように調整して調整して、12歳くらいでやっとできるようになる。コンクールに出場するような技術はその後なんです。子どもの時に変に跳んだり回ったりしすぎると、歪んだところに痛みが出るようになります。矛盾するようですが、きちんとバレエができる子を育てようとすればするほど、地味だし見ていても面白みがない。ビジネスとしては成り立ちにくくなります。けれど本当にプロを目指す子を育てるのなら、コンクール中心の指導をしてはいけないんだよね。
お聞きしていると、きちんとバレエを指導しつつ、ビジネスとして成立させるのは簡単ではありませんね。
はい、なのでバレエに関わる人はどんなキャリアを描いていくか、きちんと考える必要があります。そのためには営業力や情報発信も必要。ダンサーも個人事業主なのに、営業ができないといろんなお付き合いの中で生きていかざるを得ません。うちではセカンドキャリアの相談もやっていて、バレエで習ってきたことを活かした職業をご紹介しています。バレエをやっていた人は体のことをよく知っているので、治療の方に進む人や、磨いたセンスを活かして舞台監督や音響、照明の世界へ行く人もいます。キャリアマップをセッションで使っていますが、実はこれだけ展開していくんですよ。
こうして体系化されているとわかりやすいですね。先ほど情報発信のお話が出ましたが、米田さんはSNSやブログに積極的に投稿されています。何かメリットはありますか?
ホームページは自分でHTMLを書かないといけない時からやってたんです。もともといろんなことに手を出してみたいんだね(笑)。情報を発信していると、自分の考えに近い人、共感してくれる人だけが自然と集まってきてくれます。フィルターかかるの大事ですよ。それから誠実に正しく情報を発信していると、その道のオーソリティとして信頼されるようになります。SNSでもいいけど、私がオウンドメディアをやっているのはとてもメリットあると思います。そこから直接申し込みができるし、ちゃんとしたサイトを持っていると、信用できると思ってもらえる。なんとなくこういう世界の人ってITが苦手と思われるかもしれないけど、Zoomを使ったオンライン座談会もやってます。この前は10名参加してもらいました。今はスマホもあるし、これでやりますっていったらなんとかなりますよ。
オンライン座談会の様子
ありがとうございました。バレエで幸せになる人が増えるよう、これからもご活躍を期待しています。